サウダージ - ハートフルDAYS
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サウダージ

2008年6月21日

7時半起床。

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ゆうべは夕飯もレストエリアに停まった

キャンピングカーの家族にご馳走になった。

ホームレスライダーじゃないけれど

1日3食の施しを受けながら

人の親切心ってやつを深く感じた。


もともと自己欲求を満たすために

始めた旅だけど

触れあう人々に恩を受ける毎に

自分の心が洗われて

感謝の念がフツフツと湧いてくる。

『衣食足りて礼節を知る』‥‥だっけ?

昔の人はいちいちウマい事を

言ったもんだよなぁ。


青い空、白い雲、金色に輝く太陽

赤茶けた大地に敷かれた

1本のアスファルト道。

今日はゆるやかに伸びた下り坂が

長くながーくどこまでも続く。

心地いいバックウィンド(追い風)が

さらに拍車を掛けるように

そっと背中を優しく押してくれた。

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この分だと、行きはヨイヨイ帰りは‥‥。

えーい、後先考えて悩むのはこの際よそう。

14時30分、予想よりも早く

キングスクリークCPに到着。

ここでキングスキャニオン観光に

備えるため1泊することに決めた。

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キングスキャニオン・リゾート施設は

この先45km先に位置する。

途中で2日前に会った兄弟の車が

追い抜きざまに停車して

「ボク達もこれからキングスキャニオンに

行くから一緒に乗ってこうよ!」

と誘ってくれたが

「ありがとう!

でも、ここは自力で行きたい場所だから。」

と断ると、ビッグダディがウインク一つ😉

「OK!Take care,mate‼」
了解!気をつけてな‼

と握った拳の親指を立てながら

去って行った🚙💨👍


きっと彼らは今頃到着して

くつろいでいる事だろう。

テントを設営してシャワーを浴びたが

まだ時間はたっぷりある。

庭のベンチに腰掛けて読書タイム📖


昼下がりから夕陽に変わる頃

オレンジ色に染まる西日を浴びながら

1台の乗用車がやって来て

俺のテントの裏に停車した。

軽い挨拶を交わしたあと

彼のテントメイキングを一緒に手伝い

パンと牛乳でつつましい夕食を取った。

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すっぽり辺りが闇に覆われると

悠久の時が緩やかに流れてゆく―。

カチッカチッと聞こえるのは

時計の秒針がそうしてるだけで

時間の流れは本来サラーッとしていて

いつも途切れることのない

永遠の今が続いてるだけなのかも知れない。


昔の人たちは夜になると火を囲んで

時の流れに耳を澄ませ

いくつもの夜を過ごしてきたんだろう。


目まぐるしい発展故の便利と引換えに

時間に追われるようになった現代人と比べて

果たしてどっちが幸せなんだろうか?

答えのない問いについて

考えれば考えるほど

不思議な気持ちになって来る。

昔読んだ本の『モモ』という

童話を思い出しながらボーっとしていた。

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シャワー浴びて戻って来た

さっきの男が話掛けてくる。

彼の名はエイジェル。

大抵の観光客はこの先にある

リゾート施設に泊るため

このCP(キャラバンパーク)は俺とエイジェルと

他1組の夫婦だけでひっそりとした夜だった。

エイジェルの提案により

焚き火をしようということになった。

辺りにある木の葉と枝を集めて火をおこす。


エイジェルはオーストラリア人で

水道設備と屋根の改修工事を生業としており

週末になるとこうやって旅に出るのが

趣味だと言っていた。

「なんせ俺はひとり身だから自由なのさ。」

拙い英語ながら俺も

これまでの旅の話をした。


焚き火をして警察に連行された話も

今では誰かに話せる体験談となっていた。

決して口数の多い方ではないエイジェル

少し話しては揺蕩(たゆた)う炎を見つめ

炎を眺めながらまた少し話す。

そんなことを何度か繰り返したあとに

胸ポケットから小ぶりの酒瓶を取り出して

おもむろに一口あおった。

その仕草がいかにもサマになっていた。

「How about you?(君もどうだい?)」

まるで映画のワンシーンに

入り込んだかのようだった。

差し出されたボトルを受け取り

俺もエイジェルのように

グイッとボトルを月夜に傾ける。

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「ん‥‥グフォ!強ぇこれ!」

思わず日本語が出る。

「Ah,haha!」

笑うエイジェルに俺は言った。

「Whisky is Strong! Even,straight!!
ウイスキーは強いよ!しかもストレートだし。

Actually,I love Beer!」
俺はビール党なんだ。

「It's not Whisky! This is Vodka!!」

(これはウイスキーじゃない!ウォッカだ。)

「ボッカ??ヴォッカ‥‥‥??

あー、ウォッカね!Oh,I see!」

いずれにせよ、シラフでいきなり強い酒なんて

飲んだことのない俺は不慣れだった。

どうしても3枚目を演じてしまう。

よっぽどの酒好きなのかと聞くと

「俺はそんなに量は飲まない。

こうやって旅先で少しだけ

飲めればそれで充分なんだ。」

なんだかますますエイジェルの

一言一言がかっこよく響いた。

今度は俺がウォークマンと

小さなスピーカーをセットして

ボブ・ディランの『風に吹かれて』をかけ流し

「This is my adventure's theme-song! 」
これは俺の旅のテーマソングなんだ!

「Good job!!」
いいセンスしてるじゃないか!

親指を立てながらウィンクで返す😉👍

そして『ミスタータンブリンマン』の

イントロが鳴ると

エイジェルが真っ先に

「Oh,my favorite song!!」
俺の大好きな歌だ!

「Mee too!」
同じく!

一緒に歌った。

《ヘーイ、ミスタータンブリンマン Why so funny?》

の部分だけ思いっ切り歌い

あとは全部鼻歌でフンフ~ンと

誤魔化す俺を横目で笑いながら

エイジェルが気持ち良さげに歌ってる。


すかさず俺もエアーギターでセッションした。

歌が終わると2人で空を見上げた。

「ヒロォキ

あれがサザンクロス(南十字星)だよ。」

「あぁ。‥‥あっ、シューティングスター!

Did you see,エイジェル??」
今の見た?

「Yeah,Beautiful!!」


木製のベンチに腰掛けたまま

首だけを仰け反らせていると

いつの間にか遠い少年の記憶に

交錯していった。


10年ひと昔と言うけれど

その勘定でいけばちょうどひと昔と十分の一。

あれは高校3年生の夏―。

端(はな)から進学するつもりのなかった俺は

学生生活最後の『夏休み』というものに

いつもどこか物侘しさを感じていた。

当時好きだった娘を呼び出して

市役所前の公園で

缶チューハイを飲みながら花火をした🎆

「2人きりで遊ぼう!」なんて

奥手の俺が言えるはずもなく

もっぱら友達を巻き込んでの

グループ交際が常だった。

打上げ→手持ち→線香花火と

少しづつ近づく距離感にドキドキしながら

最後の火種がジュポッとバケツに落ちる。

明かりの消えた星空の下で

SL(蒸気機関車)が飾ってある草むらに

俺達は寝転んだ。

「あれが北極星だから、えーっと‥‥

こっちさ見えんのがカシオペア座だっけが。」

なんて理科で習った星座を探していると

流れ星が夜空を駆ける。

彼女の甘~い魅惑の香りが

夏の夜風に揺らいで漂ってくる。

たまらなく素敵な時間だ✨

このまま地球が爆発しても構わない💣

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「おー、ひろき!

俺のどこさでっかいカナブン飛んできたや、

ほりゃー!」

黒板五郎似の百姓(みのる)が

顔をクシャクシャにさせて口先尖らせながら

無邪気に割って入る。

月明かりに照らされ

彼の手の内でこれでもかと

エメラルドグリーンの輝きを放つ

カナブンの親分✨


やがてその羽を広げ流星群の方に向かって

どこまでも、どこまでも

天高く飛んでゆくカナブンを見つめながら

短い夏は去って行った。


バチバチッ‥‥。

舞い上がる火の粉の音で我に返ると

エイジェルと目が合った。

「What are you thinking,Hiroki??
何考えてたんだ、ヒロキ?

「ん~、It's just little bit difficult thing.....。
小難しいことだよ。笑

Anyway, one more please!!」
それより、もう一口くれないか?

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今日の走行 78km

総走行距離 5815km

KingsCreek-CP

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プロフィール

風天のヒロ

Author:風天のヒロ
『三十路を目前に何か自分史に残る
ことをやらかしたい!』
その思いから、語学力はもとより
運動歴も自転車知識も携えず
勢いと情熱とハッタリを武器に
南の島=オーストラリアの大地に
真っ向勝負を挑んだアガスケ小僧の
完全ノンフィクション日誌。

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